給料明細を見て「あれ、年金でこんなに引かれてるの?」と驚いたことはありませんか。払っているのは分かるけれど、そのお金がどこへ行って、将来どうやって自分に戻ってくるのか、ちゃんと説明できる人は意外と少ないものです。この記事では、年金の仕組みを「お金の流れ」に注目して、図をイメージしながらやさしく追いかけていきます。難しい制度の話ではなく、まずは全体像をつかむのがゴールです。
年金の仕組みは「世代から世代へのバケツリレー」
年金の仕組みを一言でたとえるなら、世代をまたいだバケツリレーです。今働いている人が納めた保険料が、そのまま今の高齢者の年金として配られています。自分が払ったお金が銀行口座のように積み立てられて、何十年後にそっくり返ってくる、というイメージを持っている方も多いのですが、実際は「今の現役世代が、今の受給者を支える」流れになっています。これを賦課方式(ふかほうしき)と呼びます。
つまり、あなたが今払っている保険料は将来の自分のためというより、今この瞬間にどなたかの生活費になっている、というわけです。そして自分が高齢になったときは、そのときの現役世代が支えてくれる。バトンを渡し続けるリレーだと考えると、しっくりくるのではないでしょうか。
2階建ての構造で覚えると分かりやすい
年金の仕組みは「建物の階」でイメージすると整理しやすいです。日本の公的年金は、大きく2階建てになっています。
| 階 | 名前 | 対象 |
| 1階 | 国民年金(基礎年金) | 20歳以上のほぼ全員 |
| 2階 | 厚生年金 | 会社員・公務員など |
1階の国民年金は、日本に住む20歳から60歳までの人が原則みんな入る土台部分です。2階の厚生年金は、会社にお勤めの方が1階に上乗せして入る部分です。だから会社員の方は1階と2階の両方を受け取れる可能性があり、自営業の方は1階が中心になります。建物にたとえると、土台があって、その上に人によって部屋が増えていくイメージですね。
「いつから」もらえるのかも仕組みの一部
年金の仕組みでよく忘れられがちなのが、受け取りを始める年齢です。原則は65歳からですが、希望すれば早めにもらい始めたり、逆に遅らせたりできます。早くもらうと毎月の金額は少なめになり、遅らせると多めになる、という調整がついています。これも「いつ、いくら受け取るか」を自分で選べるようにした仕組みのひとつです。受け取り方によって生涯の合計が変わってくるので、ここは早いうちに知っておくと役立ちます。
数字で見る「払う」と「もらう」の流れ
実際のお金の動きを、ざっくりした例で追ってみましょう。あくまでイメージをつかむための仮の数字です。
たとえば月収30万円の会社員Aさんがいたとします。厚生年金の保険料率はおよそ18%前後ですが、これは会社と本人で半分ずつ負担します。仮に保険料が月5万4千円だとすると、Aさんの給料から引かれるのはその半分の約2万7千円。残りの半分は会社が出してくれている、という形です。給料明細で引かれている金額は、実は「全体の半分」なんですね。
このお金が国に納められ、今の受給者へ配られます。そしてAさんが将来受け取るときは、これまで納めた期間や金額に応じて受給額が決まります。長く働いて多く納めた人ほど、2階部分が厚くなる仕組みです。逆に、納めた期間が短いと、その分だけ将来の受け取りも少なくなります。だから「払うのがもったいない」と感じても、納めた記録はちゃんと自分の将来につながっている、と考えると見え方が少し変わってきますね。
なぜこんな仕組みになっているの?
「自分で積み立てた方が分かりやすいのに」と感じるかもしれません。それでもバケツリレー方式が使われている理由のひとつが、物価の変化に対応しやすいことです。もし50年前に積み立てたお金をそのまま返すと、物価が上がった今では価値が目減りしてしまいます。現役世代が「今のお金」で支える方式なら、その時代の経済水準に合わせて配りやすい、という考え方があるのです。
一方で、少子高齢化が進むと支える人が減り、受け取る人が増えるため、リレーのバトンを渡す人手が足りなくなる、という課題も指摘されています。だからこそ、公的年金だけに頼りきらず、自分なりの備えも考えておくと安心だといわれています。
まとめ
今回は年金の仕組みを、バケツリレーと2階建ての建物という2つのイメージで整理してきました。ポイントは、(1)現役世代が受給者を支える流れであること、(2)国民年金という土台に厚生年金が上乗せされる2階建てであること、(3)保険料は会社員なら会社と折半していること、の3つです。仕組みが分かると、給料明細の数字も「将来へのバトン」に見えてきます。まずは全体像をつかむところから、少しずつ自分のお金の知識を増やしていきましょう。仕組みを知ることは、将来のお金とうまく付き合っていく第一歩になります。
※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。