「確定拠出年金で損したときどうすればいいですか」――口座を開いて画面を見たら、評価額が買ったときより下がっていた。そんなとき、胸がざわっとしますよね。せっかく将来のために始めたのに、いきなりマイナス。「やっぱり自分には向いていなかったのかな」と不安になる気持ち、とてもよくわかります。この記事では、確定拠出年金で損したときどうすればいいか、あわてず一歩ずつ考えるためのヒントを、となりでお話しするようなつもりでまとめました。読み終わるころには、画面の赤い数字を見ても少し肩の力が抜けているはずです。
まず知っておきたい「評価額のマイナス」の正体
確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)は、毎月コツコツ積み立てたお金で投資信託などを買い、長い時間をかけて育てていくしくみです。投資信託の値段(基準価額)は毎日動くので、買ったあとに下がれば画面はマイナス表示になります。
ここで大事なのは、いま見えているマイナスは「評価額」だということ。たとえるなら、買った野菜の今日の店頭価格が下がっているだけで、まだ売って手放したわけではありません。実際に損が確定するのは、安いときに売って現金に換えたときです。つまり、画面が赤くても、それは「いまの途中経過」にすぎないのです。
もう少し身近な例で言うと、家の値段が一時的に下がったからといって、住み続けている限りは何も支払いが発生しないのと似ています。売る決断をしなければ、その下落は紙の上の数字のまま。確定拠出年金も、受け取る日まではずっと「育てている途中」なので、日々の上下に一喜一憂しすぎる必要はありません。
損したときどうすればいい?まずは落ち着いて3つを確認
不安なときほど、すぐに何かしたくなります。でも最初にやるのは「いじること」ではなく「確認すること」です。次の3つをそっと見直してみましょう。
| 確認すること | 見るポイント |
| いつ使うお金か | 受け取りは原則60歳以降。何年先か |
| 何に投資しているか | 株式中心か、安定型か、バランス型か |
| 下がった理由 | 市場全体の一時的な下落か、それ以外か |
受け取りまで10年以上あるなら、いまのマイナスは長い道のりの一場面です。あわてて全部を売ってしまうと、安いところで手放して損を確定させてしまうことにもなりかねません。たとえば30代で始めた方なら、受け取りまで20年以上。その間に市場が上がったり下がったりを何度かくり返すのは、ごく当たり前のことです。逆に、受け取りが数年後にせまっている方は、値動きの大きい株式の比率を意識しておくと安心感がちがってきます。「いつ使うお金か」を起点に考えると、いまどう動くべきかの輪郭が見えてきます。
やってしまいがちなNG行動と、おすすめしたい行動
気持ちが焦ると、つい逆効果なことをしてしまいがちです。よくある行動を並べて整理してみます。
- NG:下がった瞬間に全部売って現金(元本確保型)に移す
- NG:毎日何度も画面を見て一喜一憂する
- NG:SNSの「今が売り時」といった声にあわてて従う
- OK:積み立てはそのまま続け、買い続ける
- OK:自分のリスク許容度に合っているか年に1回見直す
毎月決まった額で買い続ける積み立ては、値段が下がっているときには「安くたくさん買える」時期でもあります。たとえば同じ1万円でも、値段が高いときは少ししか買えず、安いときはより多く買える。これがコツコツ積み立ての心強いところです。下落局面は、見方を変えれば仕込みのチャンスになりうる、ということですね。ただし、これは必ず報われるという話ではなく、長く続ける前提での考え方です。
それでも不安が大きいときは「配分」を少し見直す
もし夜も眠れないほど値動きが気になるなら、それはいまの中身が自分に少し合っていないサインかもしれません。確定拠出年金には、これから積み立てる分の配分を変える方法(配分変更)と、いま持っている資産の組み合わせを入れ替える方法(スイッチング)があります。株式の比率を少し下げてバランス型を増やすなど、自分が安心して続けられるラインに調整するのも一つの手です。大きく一気に変えるのではなく、まずは少しだけ動かして様子を見る、くらいの気持ちがちょうどよいでしょう。「眠れるかどうか」は、自分に合ったリスクかを測るシンプルなものさしになります。
長く続けるための心の持ち方
確定拠出年金は、短期で勝ち負けを競うものではなく、何十年もかけてゆっくり育てる制度です。途中で何度かマイナスを経験するのは、むしろ自然なこと。大切なのは、下がったときに退場してしまわず、コツコツと続けられるかどうかです。木を植えてから実がなるまで時間がかかるように、すぐに結果が出ないのは当たり前だと思っておくと、気持ちが楽になります。
確定拠出年金で損したときどうすればいいか――答えはシンプルで、「あわてて売らず、自分のペースで積み立てを続けながら、年に一度だけ中身を点検する」。これだけで、日々の値動きにふりまわされにくくなります。画面の赤い数字に心をすり減らすより、未来の自分のために淡々と続けていく。その積み重ねが、いちばんの対処法になっていきます。
※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。