「iDeCoは危ないと聞いたが本当ですか」――投資にこれから取り組もうとしている方から、よくいただく質問です。せっかく節税になると聞いて気になっていたのに、まわりから「やめておいた方がいい」と言われると、急に手が止まってしまいますよね。そのモヤモヤ、とてもよくわかります。この記事では、なぜ「危ない」と言われるのか、その正体を一緒にほぐしながら、入門者の方が落ち着いて判断できるように整理していきます。
そもそも「iDeCoは危ない」と言われる理由
まず大前提として、iDeCo(個人型確定拠出年金)は国がつくった老後資金づくりの制度です。あやしい商品ではありません。それでも「危ない」という声が出るのには、いくつかの理由があります。整理すると、次のようなものに分かれます。
| 不安の声 | その中身 |
| 元本が減るかも | 運用商品を選ぶと、値動きで増減することがある |
| お金を引き出せない | 原則60歳まで受け取れない仕組みになっている |
| 手数料がかかる | 口座管理などで毎月少しずつ費用が発生する |
こうして見ると、「危ない」と一言で片づけられているものの中には、性質のちがう話がまざっていることがわかります。一つずつ正体を見ていきましょう。
「iDeCoは危ないと聞いたが本当ですか」を分解する
「危ない」と感じる気持ちの多くは、実は誤解と仕組みへの不慣れから来ています。順番に見ていきます。
1. 元本が減る「かもしれない」のは選び方しだい
iDeCoでは、自分で運用する商品を選びます。株式中心の投資信託を選べば、値動きが大きくなります。一方で、定期預金のような元本が確保されるタイプも用意されています。つまり「必ず減る」わけではなく、ハンドルを握っているのは自分自身なのです。車にたとえるなら、アクセルの踏み具合を自分で決められる、というイメージですね。
2. 「60歳まで引き出せない」は弱点であり強みでもある
これは事実です。急にお金が必要になっても取り出せないのは、たしかに不便に感じます。ただ、見方を変えると「老後のために手をつけずに置いておける箱」とも言えます。つい使ってしまう人にとっては、むしろ味方になってくれる仕組みです。だからこそ、生活費や近い将来に使う予定のお金は入れない、という線引きが大切になります。
3. 手数料は事前にわかる「見える費用」
iDeCoには口座管理手数料などがかかります。とはいえ、これは契約前に金額がわかる費用です。金融機関によって差があるので、比べて選べば負担を抑えられます。正体のわからない怖さではなく、あらかじめ計算できる費用だと考えると、ずいぶん気持ちが軽くなります。たとえるなら、毎月の固定費のようなもので、家計簿に書き込んでおけば「いつのまにか取られていた」という不意打ちにはなりません。むしろ、見えない手数料がこっそり差し引かれる商品より、最初から金額がはっきりしている方が、入門者にとっては安心材料になります。
入門者ができる「危ない」を減らす工夫
不安の正体が見えてきたら、次はそれを小さくする工夫です。難しいことはありません。次のようなポイントを押さえておくと安心です。
- 近いうちに使う予定のお金は入れない(生活防衛資金は別に確保する)
- 最初は無理のない少額から始めて、仕組みに慣れる
- 値動きの大きさ(リスク)は、自分が眠れる範囲に調整する
- 短期の上下に一喜一憂せず、長い時間を味方につける
- 手数料の安い金融機関を比べてから口座を開く
とくに大事なのは、自分のお金の置き場所を分けて考えることです。すぐ使うお金、数年以内に使うお金、老後まで置いておけるお金。この区別さえできていれば、「引き出せない」という不安はかなり小さくなります。
身近な例で考えてみる
言葉だけだとイメージしにくいので、二人の例で考えてみましょう。あくまで考え方を整理するためのたとえ話です。
Aさんは「節税になるなら」とよく調べず、生活費の一部まで毎月めいっぱい入れてしまいました。すると急な出費が重なったとき、お金を引き出せず家計が苦しくなり、「やっぱりiDeCoは危ない」と感じてしまいました。一方Bさんは、まず生活防衛資金を別に確保したうえで、残った余裕資金から少額で始めました。値動きのある月もありましたが、すぐに使うお金ではないので落ち着いて見ていられました。
同じ制度でも、感じ方がまるでちがいますよね。危なさは制度ではなく、入れ方や金額の決め方に宿るということが、この二人の差からよくわかります。「危ない」という言葉にとらわれる前に、自分がAさんとBさん、どちらの入り方をしようとしているかを振り返ってみてください。
結局、iDeCoは危ないのか?
ここまで見てきたとおり、「iDeCoは危ないと聞いたが本当ですか」という問いへの答えは、「危ないかどうかは使い方しだい」というのが正直なところです。制度そのものが落とし穴なのではなく、自分に合わない金額や商品を、仕組みを知らないまま選んでしまうと不安が大きくなる、というだけの話です。
逆に言えば、お金の置き場所を分け、無理のない範囲で、納得して選べば、過度に怖がる必要はありません。大切なのは、まわりの「危ないらしいよ」という声をそのまま受け取らず、自分の状況に当てはめて考えてみることです。今日この記事で正体を一つずつ見られたなら、もう半分は不安をほぐせています。あとは、自分のペースで一歩ずつ確かめていけば大丈夫ですよ。
※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。