「思っていたより家賃が入らない」「売ろうとしたら買ったときより値段が下がっていた」。不動産投資で損したときどうすればいいですか、という不安は、実は多くの人が一度は通る道です。数字がマイナスに見えると、頭が真っ白になってしまいますよね。でも、あわてて動くほど傷が深くなることもあります。この記事では、専門家ではなく隣で一緒に考える友人のような気持ちで、落ち着いて状況を整理する手順をお伝えします。
まずは「なぜ損したのか」を切り分ける
損の「正体」がはっきりしないまま不安になっている方は少なくありません。最初にやるべきは、損を種類ごとに分けて見ることです。家計でいえば、財布の中身を一度テーブルに全部出して並べてみるイメージですね。ごちゃ混ぜのまま眺めると大きく見えるものも、分けてみると意外と一つひとつは小さい、ということがよくあります。
損には、大きく分けて次のような種類があります。それぞれ性質が違うので、対処の仕方も変わってきます。
| 損の種類 | どういう状態か | 性質 |
|---|---|---|
| 毎月の赤字 | 家賃収入よりローン返済や経費が多い | 続くと家計を圧迫しやすい |
| 空室による損 | 入居者がいない期間の収入ゼロ | 一時的なことも多い |
| 物件価格の下落 | 買ったときより評価額が下がった | 売らなければ確定しない |
ここで大事なのは、価格の下落は「売って初めて確定する損」だということです。地図上で道に迷っているように見えても、立ち止まっている限りは転んでいないのと同じ。慌てて売却すると、まだ確定していなかった損をわざわざ確定させてしまうこともあります。逆に、毎月の赤字は毎月じわじわ家計から出ていくお金なので、こちらは早めに手当てしたいタイプの損です。同じ「損」でも、急ぐべきものと急がなくてよいものがある、と覚えておくと判断がぶれにくくなります。
感情で動かず、数字を書き出してみる
損が見えると、人はどうしても「早く手放したい」「もっと買い足して取り返したい」と極端な方向へ気持ちが揺れがちです。けれど、こういうときこそ一度ペンを持って、数字を紙に書き出してみることをおすすめします。
書き出すと整理しやすい項目は、次のようなものです。
- 毎月の家賃収入はいくらか
- ローン返済額と管理費・修繕積立金などの経費はいくらか
- 差し引きで毎月いくらプラス(またはマイナス)か
- 手元にどれくらいの余裕資金があるか
- 空室が何か月続いても耐えられそうか
頭の中だけで考えていると、不安が実際より大きく膨らんでしまいます。文字にすると「思ったより耐えられそう」と分かることもあれば、「ここは早めに手を打った方がいい」と冷静に判断できることもあります。健康診断で数値を見て初めて生活を見直すのに少し似ていますね。書き出した紙は捨てずに取っておくと、数か月後に見返したときに状況が良くなっているか悪くなっているかの「定点観測」にも使えます。
取れる対処法を比べてみる
状況が整理できたら、次は具体的な打ち手を比べます。損したときの答えは一つではなく、自分の状況に合うものを選ぶ作業になります。
続ける・改善する
毎月の赤字がそれほど大きくなく、立地や物件に見込みがある場合は、すぐ手放すより改善を試みる選択もあります。たとえば家賃設定の見直し、管理会社の変更、リフォームで入居者を呼びやすくする、といった工夫です。料理でいえば、味が薄いからと鍋ごと捨てるのではなく、まず調味料を足してみる、という発想ですね。
条件を組み替える
返済の負担が重いなら、金融機関にローンの借り換えや返済条件の相談をしてみる方法もあります。条件次第で毎月の負担が軽くなり、赤字が縮まることがあります。同じ家計でも、固定費を一つ見直すだけで毎月の苦しさがやわらぐのと似ています。
売却して区切りをつける
これ以上持ち続けるのが家計的にも精神的にもつらい場合は、売却して一区切りつけるのも立派な判断です。大切なのは、損を取り返そうと焦るのではなく、これ以上広げないという視点で考えることです。
| 対処法 | 向いている状況 |
|---|---|
| 続けて改善 | 赤字が小さく、立地に見込みがある |
| 条件の組み替え | 返済負担が重いが物件は手放したくない |
| 売却して区切り | 赤字が続き家計や心の負担が大きい |
やりがちな「あわての一手」に注意する
不安なときほど、後から振り返ると首をかしげたくなる動きをしてしまいがちです。代表的なのが、損を取り返そうとしてよく調べないまま別の物件を買い足す、いわゆる「ナンピン」のような動き。傷を別の傷でふさごうとすると、かえって全体が大きく揺れてしまうことがあります。
もう一つは、感情にまかせて相場の底で投げ売りしてしまうこと。焦って一番安いタイミングで手放すのは、せっかくの選択肢を自分から狭めてしまう行動です。あわてた一手を避けるコツは、「今日中に決めなくていいことは、今日決めない」と一度立ち止まること。一晩眠るだけで見え方が変わることも珍しくありません。
一人で抱え込まないことも対処のうち
損が出ているときほど、人に相談しづらくなるものです。でも、税金の扱いや売却のタイミングなどは、専門家の視点が役立つ場面が多くあります。たとえば損益通算など、知っているかどうかで結果が変わる仕組みもあります。
友人に道を尋ねるのと同じで、迷ったら詳しい人に聞いてみる。それも立派な対処の一つです。完璧に一人で解決しようとせず、使えるものは使うくらいの気持ちでいると、気持ちもずいぶん楽になります。
不動産投資で損したときどうすればいいですか、という問いに、すぐ効く魔法のような答えはありません。けれど、損を切り分け、数字を書き出し、選択肢を比べる。この順番で落ち着いて進めば、思っていたより冷静に向き合えるはずです。あわてず、自分の状況に合った一歩を選んでいきましょう。
※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。