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老後資金の税金と確定申告の基本

「コツコツ準備してきた老後資金、いざ使うときに税金ってどうなるの?」——そんな疑問を持ったことはありませんか。給料に税金がかかることは知っていても、自分で育てた資産から出る利益にどんな税金がかかるのかは、意外と知られていません。この記事では、投資をはじめたばかりの方に向けて、老後資金の税金の全体像をやさしく整理していきます。細かい数字を覚えることよりも、まず「どこに税金がかかるのか」という地図を頭に描くことを目標にしましょう。地図さえあれば、あとから細部を埋めていくのはずっと楽になります。

老後資金の税金は「入れ物」で性格が変わる

老後資金の税金は、お金を貯めた箱の種類によって性格が変わります。たとえるなら、同じ水でも入れ物がペットボトルか水筒かでフタの開け方が違うようなものです。老後資金の税金を考えるときは、まず「利益に対する課税」と「受け取り時の課税」の2つに分けて見るとスッキリします。

投資信託や株式で増やした分には、利益(売却益や配当)に対しておおむね約20%の税金がかかります。一方、年金や退職金のように受け取り時に課税されるものは、その性質に応じて別の計算ルールが用意されています。同じ「老後のお金」でも、入れ物しだいで扱いが変わると覚えておきましょう。逆にいえば、入れ物を選ぶ段階で、将来の税金の負担はある程度コントロールできるということでもあります。

利益にかかる約20%の正体

株式や投資信託の利益にかかる税率は、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%を合わせて、合計でおよそ20.315%です。10万円の利益が出たら、ざっくり2万円ほどが税金として差し引かれるイメージです。けっして小さくない割合ですが、給与にかかる所得税のように収入が増えるほど税率が上がるわけではなく、一律に近い形でかかるのが特徴です。

区分 内容 税率の目安
譲渡益 株や投信を売って出た利益 約20.315%
配当・分配金 保有中に受け取るお金 約20.315%
NISA口座内 制度の枠内で得た利益 非課税

ここで覚えておきたいのが、NISA(少額投資非課税制度)です。NISAの枠の中で得た利益には、原則としてこの約20%がかかりません。老後資金づくりで「税金をなるべく抑えたい」と考える方にとって、NISAは最初に検討したい入れ物のひとつといえます。年間の投資できる枠には上限があるものの、長期でコツコツ育てる老後資金とは相性がよい制度です。

受け取り方で変わる年金・退職金の課税

会社員や公務員の方が受け取る公的年金や、企業年金・iDeCoなどの私的年金は、受け取り方によって税金の計算が分かれます。大きく分けると、毎月など分割で受け取る「年金方式」と、まとめて受け取る「一時金方式」があります。

年金方式で受け取る場合は、雑所得として公的年金等控除という割引が使え、一時金方式の場合は退職所得控除という大きな割引が使えることがあります。どちらが有利かは、受け取る金額やほかの収入、その年の生活設計によって異なります。「自分はどの入れ物から、どう受け取るのか」を早めにイメージしておくと、いざというときに慌てずにすみます。受け取り方ひとつで手取りが変わることもあるため、退職が近づいたら一度シミュレーションしてみると安心です。

確定申告が必要になるのはどんなとき?

「老後資金にも確定申告がいるの?」とよく聞かれます。証券口座が源泉徴収ありの特定口座であれば、利益が出るたびに自動で税金が差し引かれるため、原則として自分で申告する手間は少なくなります。一方、複数の口座で損益を通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合などは、確定申告をすることで税金が戻ったり負担が軽くなったりすることがあります。

  • 特定口座(源泉徴収あり)…基本は申告不要
  • 複数口座の損益通算…申告で取り戻せることがある
  • 損失の繰越控除…申告で翌年以降に活用できる
  • 年金とほかの所得が一定額を超える場合…申告が必要になることがある

よくある質問でおさらい

最後に、初心者の方からよく寄せられる質問を整理しておきます。Q&A形式で読むと、これまでのポイントがより記憶に残りやすくなります。

Q. 利益が出ていなくても申告したほうがよい? その年に損失が出た場合でも、申告しておくと翌年以降の利益と相殺できる「繰越控除」が使えることがあります。損が出た年こそ、申告のメリットを検討する価値があります。

Q. 年金をもらいながら投資の利益もある場合は? 公的年金等の収入が一定額以下で、ほかの所得も少なければ、申告が不要になる制度があります。ただし、医療費控除などで税金を取り戻したいときは、あえて申告したほうが有利なこともあります。

Q. NISAだけで運用しているなら税金は気にしなくていい? NISAの枠内の利益は非課税なので、その分については税金や申告を基本的に意識せずにすみます。ただし枠を超えた分や、NISA以外の口座の利益は通常どおり課税対象になります。

まとめ

老後資金の税金は、「利益にかかる約20%」と「受け取り時の課税」という2つの地図さえ持っていれば、ぐっと見通しがよくなります。まずはNISAのような非課税の入れ物を知り、自分の老後資金がどの箱に入っているのかを整理することから始めてみましょう。そのうえで、年金や退職金の受け取り方を考えておけば、将来の手取りに差が出ることもあります。細かいルールは時期によって変わるため、実際の手続きの前には最新情報の確認をおすすめします。

※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。税制の詳細は国税庁の最新情報や税理士など専門家にご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の取引・業者を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任でお願いいたします。
田中 誠一郎
この記事の執筆者
田中 誠一郎
FP2級 証券外務員一種 元・証券会社15年
元・大手証券会社に15年勤務後、独立。FP2級・証券外務員1種保有。バイナリーオプション・FX・資産運用を中心に、入門者向けの解説記事を多数執筆。「難しい金融知識をわかりやすく」をモットーに活動中。

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