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複利のリスクとは?初心者がつまずく落とし穴と備え方

「複利で増やせば老後も安心」――そんな言葉を見て投資を始めたものの、思ったように増えない、むしろ減ってしまった。そんな不安を感じていませんか。複利は「雪だるま式にお金が増える仕組み」としてよく紹介されますが、実は良い面ばかりではありません。この記事では、入門者の方が見落としがちな複利のリスクの正体と、その備え方を、できるだけやさしい言葉でお伝えします。

そもそも複利とは?まずは仕組みをおさらい

複利とは、増えた利益にさらに利益がつく仕組みのことです。たとえば100万円を運用して5万円増えたら、翌年は105万円をもとに計算されます。利益が利益を生むので、時間が経つほど増え方が加速していきます。坂道を転がる雪だるまが、だんだん大きくなっていくイメージですね。

反対に、利益が出てもその都度すべて引き出してしまう方法を「単利」と呼びます。単利では元手100万円に対して毎年同じだけしか増えませんが、複利では増えた分も翌年の元手に加わります。最初の数年はほとんど差がありませんが、10年、20年と続けるうちに、その差はじわじわと開いていきます。

この「時間を味方につける」点が、複利が長期投資ですすめられる理由です。ただし、ここで多くの方が勘違いしてしまうポイントがあります。それは「複利=必ず増える魔法」ではない、ということです。雪だるまは転がる方向が下り坂であれば大きくなりますが、上り坂や向きを誤れば、ふくらむどころか崩れてしまうこともあるのです。

複利のリスクの正体──プラスだけでなくマイナスにも働く

複利のいちばん大事な性質は、プラスにもマイナスにも同じように働くという点です。利益が雪だるま式に増えるなら、損失も同じように雪だるま式にふくらむことがあります。ここが、入門者の方が「なぜ増えないの?」と不安になる原因の一つです。

たとえば、ある年に50%減ってしまったとします。では翌年に50%増えれば元に戻るかというと、戻りません。具体的に見てみましょう。

状態 金額の目安
最初の資金 100万円
50%減った後 50万円
そこから50%増えた後 75万円

このように、半分になった後で同じ割合だけ増えても、元の100万円には届かず75万円どまりです。実は、50%減った状態から元に戻すには、50%ではなく100%、つまり2倍にする必要があります。減り方が大きいほど、取り戻すために必要な上昇率はぐんと跳ね上がる――これが複利のこわい一面です。坂道を一気に転がり落ちた雪だるまを、同じ高さまで押し上げるのは、転がり落ちる何倍もの力がいる、というわけですね。

手数料やコストも複利で効いてくる

見落としがちなのが、手数料などのコストです。毎年わずかな手数料でも、長い期間で見ると複利の力で大きな差になります。たとえば年1%の差でも、20年、30年と積み重なれば、最終的な金額に無視できないほどの開きが生まれます。利益を雪だるまにするはずが、コストも一緒に雪だるまになってしまう、というわけです。長く付き合う商品ほど、コストの確認は欠かせません。

初心者がつまずきやすい3つの落とし穴

複利のリスクと関わりの深い、つまずきやすいポイントを整理してみました。

  • 短期で結果を求めてしまう:複利が力を発揮するのは長い時間をかけたときです。数か月で大きな成果を期待すると、値動きに振り回されて不安になりがちです。
  • 一度に大きく投じてしまう:まとまった資金を一気に入れると、タイミング次第で大きく減るリスクが高まります。
  • 増えた分を必ず再投資すべきと思い込む:再投資は複利の効果を高めますが、生活に必要なお金まで回してしまうと、いざというとき身動きが取れません。

とくに最初の落とし穴は、SNSなどで「短期間で資産が倍になった」といった話を目にすると陥りやすいものです。そうした例は目立つから話題になるだけで、その裏では同じくらい大きく減らした人もいる、という点を忘れないようにしたいですね。

複利のリスクへの備え方──入門者ができること

こわい面もある複利ですが、性質を理解して付き合えば、むやみに恐れる必要はありません。入門者の方ができる備え方を、いくつかご紹介します。

備え なぜ役立つのか
長い時間を前提にする 短期の上下に一喜一憂しにくくなり、複利の良い面を活かしやすくなります。
少しずつ・分けて投じる 買うタイミングをずらすことで、一度に大きく減るリスクをやわらげます。
大きな下落を避ける意識を持つ 深い損失からの回復は難しいため、減らしすぎないことが結果的に効いてきます。
コストを確認する 長期では手数料の差が複利で積み上がるため、事前のチェックが大切です。
生活資金は分けておく すぐ使うお金まで投資に回さないことで、あわてて手放さずにすみます。

どれも特別なことではなく、「減らしすぎない」「あわてない」ための土台づくりです。複利は、増やす方向にも減らす方向にも同じように働くからこそ、守りの意識が活きてきます。なかでも「少しずつ・分けて投じる」やり方は、毎月決まった額をコツコツ続けるイメージで、買うタイミングを自分で見極める必要がないぶん、入門者の方が始めやすい方法と言えるでしょう。

まとめ:複利のリスクを知ることが第一歩

複利は時間を味方につける心強い仕組みですが、損失も同じように積み上がる――この両面を知っておくことが、入門者の方にとっていちばんの備えになります。「なぜ増えないの?」という不安の多くは、複利の性質を知ることで、少し見え方が変わってくるはずです。仕組みを正しく理解していれば、値動きで気持ちが揺れたときも、落ち着いて立て直す材料になります。あせらず、自分のペースで、まずは仕組みの理解から始めてみてくださいね。

※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の取引・業者を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任でお願いいたします。
田中 誠一郎
この記事の執筆者
田中 誠一郎
FP2級 証券外務員一種 元・証券会社15年
元・大手証券会社に15年勤務後、独立。FP2級・証券外務員1種保有。バイナリーオプション・FX・資産運用を中心に、入門者向けの解説記事を多数執筆。「難しい金融知識をわかりやすく」をモットーに活動中。

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