2026年8月1日(土)|信頼できる日本経済ニュースを毎日お届け

暗号資産の税金と確定申告の基本|課税の全体像をやさしく解説

ビットコインやイーサリアムを買ってみたものの、「もし利益が出たら税金ってどうなるの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。暗号資産の税金は、株やFXとは少しルールがちがうため、最初に全体像をつかんでおくと安心です。この記事では、暗号資産の税金について、入門者の方でもイメージできるように、たとえ話を交えながら丁寧に整理していきます。むずかしい専門用語はできるだけかみくだいて説明しますので、初めての方も気負わずに読み進めてみてください。

暗号資産の税金は「雑所得」という箱に入る

所得税の世界では、もうけの種類ごとに「箱」が決まっています。会社のお給料は給与所得という箱、株の売買益は申告分離課税という別の箱に入ります。これに対して、暗号資産で得た利益は原則として「雑所得」という箱に入る、と覚えてください。雑所得は、公的年金やフリマアプリの副収入などと同じグループで、ほかの所得と合算して税額を計算する「総合課税」が基本になります。

イメージとしては、給料という大きな川に、暗号資産の利益という小川が合流するような形です。合流して水かさが増えるほど、適用される税率も上がっていく仕組みになっています。株やFXのように「もうけだけを切り離して別計算」というわけにはいかない、という点がひとつの特徴です。

税率は所得が増えるほど高くなる「累進課税」

総合課税で使われるのが「累進課税」という考え方です。これは、もうけが多い人ほど高い税率を負担する仕組みで、所得税は5%から最大45%まで段階的に上がります。これに住民税(原則10%)が加わるため、人によっては合計でかなりの割合になることもあります。階段を一段のぼるごとに、負担する割合が少しずつ重くなっていくイメージです。下の表は、課税される所得金額ごとの所得税率のおおまかな目安です。

課税所得の目安 所得税率
195万円以下 5%
330万円以下 10%
695万円以下 20%
900万円以下 23%
1800万円以下 33%

株やFXが一律およそ20%であることと比べると、暗号資産は利益が大きくなるほど負担割合が増えやすい、という特徴があります。だからこそ、暗号資産の税金は早めに全体像を知っておくことが大切なのです。利益が小さいうちは負担も軽めですが、大きく増えたときに「思ったより税金が高い」と驚かないよう、仕組みを先に理解しておきましょう。

税金がかかる「タイミング」はどこ?

意外と知られていないのが、税金がかかる瞬間です。「日本円に換金したときだけでしょ?」と思いがちですが、実際はもう少し幅があります。利益が確定したとみなされる主なタイミングは次のとおりです。

  • 暗号資産を売って日本円にしたとき
  • ある暗号資産で別の暗号資産を買ったとき(交換)
  • 暗号資産で商品やサービスの代金を支払ったとき
  • マイニングやステーキングなどで新たに受け取ったとき

つまり、円に戻していなくても、コイン同士を交換した時点で利益が計算されることがあるのです。「まだ現金化していないから関係ない」と思い込んでいると、知らないうちに課税のタイミングが来ていた、ということも起こり得ます。ここは見落としやすいポイントなので、取引のたびに記録を残しておくと後がラクになります。なお、どの取引所を使うか、つまり取引業者の比較によって取引履歴のダウンロードのしやすさが変わり、結果として税金の計算のしやすさにも影響してきます。

この話題に関連して、確定申告で損しないFXの税務知識についての記事もご紹介します → こちら

利益の計算はどうやるの?

利益の計算は、ざっくり言えば「売ったときの金額から、買ったときの金額と手数料を引く」だけです。たとえば10万円で買ったコインを15万円で売れば、差額の5万円が利益(おおよその所得)になります。ただし、何度も買い増しをしている場合は、買ったときの平均的な値段(取得価額)を求める必要があり、計算が一気に複雑になります。取引が多い方は、損益計算ツールを使うと負担がぐっと軽くなります。手作業で一件ずつ計算しようとすると、思わぬ計算ミスにつながることもあるため、年間の取引数が多い方ほどツールに頼るのが安心です。また、税金の支払いに使うお金は、利益が出た時点で少しずつ取り分けておくと、納付の時期になって慌てずに済みます。利益を全部使ってしまうと、後で税金分が手元に残っていない、という事態になりかねません。

まとめ:まずは「雑所得・総合課税・記録」の3点

暗号資産の税金は複雑に見えますが、入門段階では次の3点を押さえておけば十分です。第一に、利益は原則「雑所得」に入ること。第二に、総合課税の累進で、もうけが増えるほど税率が上がること。第三に、円に戻さなくても交換や決済で課税のタイミングが来ること。この3つを意識して取引の記録を残しておけば、確定申告の季節になってあわてずに済みます。具体的な税額や控除は人によって異なるため、不安な場合は早めに準備を始めましょう。

※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。税制は変更されることがあるため、最新の情報は国税庁の公式情報や税理士などの専門家にご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の取引・業者を推奨するものではありません。投資判断は最終的にご自身の責任でお願いいたします。
田中 誠一郎
この記事の執筆者
田中 誠一郎
FP2級 証券外務員一種 元・証券会社15年
元・大手証券会社に15年勤務後、独立。FP2級・証券外務員1種保有。バイナリーオプション・FX・資産運用を中心に、入門者向けの解説記事を多数執筆。「難しい金融知識をわかりやすく」をモットーに活動中。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です