「iDeCo(イデコ)」とか「企業型DC」って言葉、給与明細や会社の案内でちらっと見たことはありませんか?どちらも正体は同じ、確定拠出年金という制度です。名前がいかついので「なんだか難しそう…」と読み飛ばしてしまいがちですよね。でも実は、毎月コツコツお金を箱に入れて、その箱の中身を自分で運用しながら、将来の自分に手渡す——そんなシンプルな仕組みなんです。この記事では、確定拠出年金の仕組みを、お金がどう動いてどう増減するのか、具体的な数字をまじえて図解するように追いかけていきます。
確定拠出年金の仕組みを「貯金箱」でイメージしよう
確定拠出年金の仕組みは、よくある「みんなで集めたお金を国がまとめて配る年金」とは少し性格が違います。こちらは自分専用の貯金箱を持つイメージに近いです。毎月決まった額(これを掛金と呼びます)をその箱に入れ、中身を投資信託などで運用し、原則60歳以降に受け取る——という流れです。
ポイントは「確定拠出」という名前そのものにあります。拠出(=出すお金)は確定しているけれど、将来もらえる金額は確定していない、という意味です。つまり「毎月いくら入れるか」は自分で決められますが、「いくらになって返ってくるか」は運用しだいで変わる、ということですね。ここが昔ながらの年金との一番の違いです。
お金が動く3つのステージ
仕組みを追うと、お金は大きく3つの段階を通ります。順番に見てみましょう。
| ステージ | 何が起きるか | たとえると |
| 1. 拠出 | 毎月の掛金を入れる | 貯金箱にお金を入れる |
| 2. 運用 | 投資信託などで増やす(減ることも) | 箱の中で苗を育てる |
| 3. 受取 | 60歳以降に受け取る | 育った実を収穫する |
たとえば毎月2万円を入れると、1年で24万円。これがステージ1の積み立てです。そのお金をそのまま置いておくのではなく、自分で選んだ投資信託などに振り分けて運用するのがステージ2。そして60歳以降に、増えた(あるいは目減りした)残高を受け取るのがステージ3、という流れになります。
なぜ「効果」が生まれるの?数字で見てみよう
確定拠出年金の仕組みで一番おいしいのは、税金の面での後押しです。なぜ効果が出るのか、ざっくりした数字で追いかけてみます。
仮に年収400万円くらいの人が、毎月2万円(年24万円)を掛金として入れるとします。この掛金は「全額が所得控除」の対象になります。むずかしく聞こえますが、要は税金の計算上、その24万円は無かったことにできるイメージです。所得税と住民税を合わせてだいたい15〜20%とすると、24万円×約15%=およそ年3.6万円ぶん、払う税金が軽くなる計算になります。これは運用で増えたわけではなく、「入れた瞬間」に得られる効果なので、相場が上がろうが下がろうが関係なく働くのが特徴です。
さらにもう一つ。普通の投資だと、運用で出た利益には約20%の税金がかかります。たとえば10万円増えたら2万円が引かれて、手元に残るのは8万円。ところが確定拠出年金の箱の中で増えた利益には、その税金がかかりません。10万円増えたら10万円がまるごと箱に残る、というわけです。この「税金を取られずに増えた分がさらに次の年の元手になる」という積み重ねが、長い年月をかけてじわじわ効いてきます。
増えることも、減ることもある
いいことばかり書いてきましたが、仕組み上きちんと押さえておきたいのが「箱の中身は値動きする」という点です。中で選ぶ投資信託は、株式や債券などで運用されるので、相場が下がれば残高も一時的に減ります。たとえば50万円積み立てた時点で相場が大きく崩れれば、評価額が45万円に見えることもあります。逆に好調なら55万円に見えることもある、ということですね。
ただし原則60歳まで引き出せないルールがあるため、目先の上下に一喜一憂しにくく、長い時間をかけて平均的なリターンをならしていきやすい、という性格もあります。元本確保型(増えにくいけれど減りにくい)の選択肢を箱の中に入れることもできるので、どれくらい値動きを受け入れるかは自分で調整できます。
イメージしやすいように、もう少し具体的に追ってみましょう。同じ月2万円を入れていても、Aさんは中身をすべて株式型の投資信託に、Bさんは半分を元本確保型にしたとします。相場が好調な年はAさんの箱がぐんと伸びますが、相場が崩れた年はAさんのほうが大きく目減りします。一方Bさんは伸びも控えめですが、下がるときの揺れも小さくなります。どちらが正解というより、自分がどのくらいの揺れなら落ち着いていられるか、という性格に合わせて中身の配合を決められるのが、この仕組みの柔らかいところです。途中で配合を変えることもできるので、最初に完璧を目指さなくても大丈夫ですよ。
まとめ
確定拠出年金の仕組みを一言でいえば、「自分専用の貯金箱に毎月入れて、中身を自分で育て、将来の自分が受け取る」制度です。掛金を入れた瞬間に税金が軽くなり、箱の中で増えた利益にも税金がかからない——この二段構えが、長く続けるほど効いてくるのが大きな特徴でした。一方で中身は値動きするので、減る年もあると知っておくことが大切です。仕組みがわかれば、案内の用紙を見たときの「なんだか難しそう」が少し減るのではないでしょうか。まずは制度のかたちをつかむところから、ゆっくり始めてみてくださいね。
※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。