「投資を始めてみたいけれど、もし買ったものが値下がりしたら全部おしまいなんじゃないか…」。そんな不安で一歩を踏み出せずにいる方は、きっと少なくないはずです。じつは、その心配をやわらげるための、とても基本的でやさしい考え方があります。それが分散投資です。この記事では、分散投資とは何かを、はじめての方にもイメージしやすいように、身近なたとえを交えながらゆっくり説明していきますね。
分散投資とは?まずは結論から
結論からお伝えすると、分散投資とは「お金を一つのものにまとめて入れず、いくつかの種類に分けて持っておく」という考え方のことです。たとえば全財産で一つの会社の株だけを買うのではなく、いくつかの会社、いくつかの国、いくつかの種類の資産に少しずつ振り分けておく。これだけのことです。むずかしい計算や特別な才能は必要なく、「一か所にまとめない」という姿勢そのものが、分散投資の出発点になります。
反対に、一つのものだけにお金を集中させることを「集中投資」と呼びます。集中投資はうまくいけば大きく増える可能性がありますが、外れたときのダメージも大きくなります。分散投資は、その振れ幅をなるべく穏やかにしようとする工夫だと考えてください。
たとえるなら「卵を一つのカゴに盛らない」
分散投資を説明するとき、昔からよく使われるたとえがあります。それは「卵を一つのカゴに盛るな」という言葉です。想像してみてください。たくさんの卵を一つのカゴにまとめて入れて運んでいたら、もしそのカゴを落としたとき、中の卵はまとめて割れてしまいますよね。
でも、卵をいくつかのカゴに分けて運んでいたらどうでしょう。一つのカゴを落としてしまっても、ほかのカゴの卵は無事です。被害はそのカゴの分だけで済みます。投資も同じで、お金をいくつかの場所に分けておけば、どれか一つが値下がりしても、全体が一度に大きく目減りしにくくなる、というわけです。
もう一つ身近なたとえを挙げるなら、お弁当のおかずにも似ています。ごはんとおかず一品だけだと、その一品が口に合わなければ食事全体がさみしくなります。けれど何種類かのおかずが入っていれば、一つが好みでなくても、ほかでバランスが取れます。投資の世界でも、性格のちがうものを組み合わせておくと、全体としての心地よさが保たれやすいのです。
何を「分ける」の?分散のいろいろ
ひとくちに分散といっても、分け方にはいくつかの方向があります。代表的なものを整理してみましょう。
| 分け方 | かんたんな説明 |
| 銘柄の分散 | 一つの会社だけでなく、複数の会社や商品に分けて持つこと |
| 地域の分散 | 日本だけでなく、海外などいくつかの国や地域に分けること |
| 資産の分散 | 株だけでなく、債券や金など値動きの性格がちがうものを組み合わせること |
| 時間の分散 | 一度にまとめて買わず、何回かに分けて少しずつ買っていくこと |
とくに最後の「時間の分散」は、初心者の方にとって心強い考え方です。買うタイミングを分ければ、「高いときに全部買ってしまった」という後悔をやわらげやすくなります。値段が高いときは少なく、安いときは多く買えるので、平均すると買値が極端に偏りにくくなるのです。
なぜ分散投資が大切なのか
では、なぜここまで分散が大切だといわれるのでしょうか。一番の理由は、将来は誰にも正確には読めないからです。どの会社が伸びるか、どの国の景気が良くなるか、来年どうなっているかを言い当てられる人はいません。だからこそ、一つに賭けて当たり外れに身をまかせるより、いくつかに分けて「どれかが沈んでも、ほかで支える」かたちにしておくほうが、気持ちにも余裕が生まれます。
もう一つ大切なのは、続けやすくなるという点です。値動きがゆるやかなほうが、はらはらせずに長く付き合えます。投資は短距離走よりも、ゆっくり長く歩くマラソンに近いといわれます。途中で怖くなって投げ出さないためにも、分散は心の安定剤のような役割を果たしてくれます。値動きの幅がおだやかだと、毎日の値段の上下に一喜一憂せずに済み、本来の生活や仕事に集中しやすくなる、という地味だけれど大きなメリットもあります。
ただし、分散しても値下がりがゼロになるわけではありません。市場全体が下がる場面では、分けていても一緒に下がることはあります。分散はリスクを「消す」ものではなく、「やわらげる」工夫だと受け止めておくと、過度な期待をせずにすみます。
まとめ
分散投資とは、お金を一つにまとめず、銘柄・地域・資産・時間といったいくつかの軸に分けて持っておく、やさしくて基本的な考え方でした。「卵を一つのカゴに盛らない」という言葉のとおり、分けておけば、どれか一つがつまずいても全体が一度に大きく崩れにくくなります。最初から完璧に分ける必要はありません。まずは「一か所に集中させない」という意識を持つだけでも、立派な第一歩です。あなたが無理なく長く続けられる範囲で、少しずつ取り入れてみてくださいね。
※投資は自己責任です。本記事は情報提供であり投資助言ではありません。