「消費者物価指数が1.8%上がった」。この一文から物価全体の上昇率を読み取るのは、よくある誤読の一つだ。2026年7月分の全国消費者物価指数で、1.8%は生鮮食品を除く総合指数の前年同月比である。総合指数は前年同月比1.9%の上昇だった。指数の種類と比較期間を確かめないまま数字を引用すると、同じ発表を読んでも話が食い違う。

CPIの誤読、2つの型

誤読は大きく2つに分かれる。1つは指数の種類の取り違えだ。総合指数と参考指数を区別せず、目についた上昇率を拾ってしまう。もう1つは比較期間の取り違えで、前年同月比と前月比を同じ尺度として並べてしまう。

後者は自分でも経験がある。季節調整前の数字で前月比を語り、上司に指摘された。季節による品目の入れ替わりを含んだ動きを、物価の変化そのものとして説明していた。計算は合っていても、読み方が合っていなかった。

CPIの定義と3つの指数

消費者物価指数(CPI)は、消費者が購入する財・サービスの価格を集計した指数だ。総務省統計局が毎月作成・公表している。個別品目の価格は小売店舗の調査、ウエイトは世帯の支出に関する調査に基づく。単位は指数である。

指数の種類を買い物かごの違いで表したイメージ

※定義は日本銀行「教えて!にちぎん」消費者物価指数による。

統計局は総合指数に加え、総合指数の安定性を確保するため2つの参考指数を公表している。3つの違いは、どの品目を除いているかにある。

消費者物価指数の主な系列
指数 除いている品目 除く理由
総合指数
生鮮食品を除く総合指数 生鮮食品 季節変動が大きい
生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数 生鮮食品、エネルギー エネルギーは国際商品市況の影響を受ける

上昇率を書き写すときは、指数名まで一緒に書き写すようにしている。1つ目の誤読は、ほぼこの一手間で防げる。

※参考指数の区分は統計局「消費者物価指数に関するQ&A」による。

CPIの前年同月比と前月比

前年同月比は同じ月同士を比べる。季節変動要因を考慮する必要がなく、直近1年間の価格動向を見るのに適している。

前月比は直前の動きを示す。ただし、衣料品や生鮮果物など、季節による入れ替わりの影響を含む場合がある。

発表日の朝に統計局のページを開くと、最初に確認するのは指数名と比較の種類だ。上昇率を見るのはその後にしている。2つの比較は目的に応じて使い分けるもので、どちらか一方だけが正しいという関係ではない。

※比較の性質は統計局「消費者物価指数に関するQ&A」D-4による。

CPI、2026年7月分の数字

2026年7月分(2025年基準・全国)の消費者物価指数は、2026年8月21日に総務省統計局から公表された。前年同月比で見ると、次のとおりだ。

全国消費者物価指数 2026年7月分(2025年基準、前年同月比)
指数 前年同月比
総合指数 1.9%上昇
生鮮食品を除く総合指数 1.8%上昇

2つの上昇率の差は0.1ポイント。数字が近いため、指数名を落として引用しても、読み手は違いに気づきにくい。冒頭の一文が通ってしまうのは、この近さのせいでもある。

※数値は統計局「消費者物価指数(CPI) 全国」、公表日は総務省報道資料(2026年7月分)による。

CPIの注記(2025年基準・次回公表)

※2026年7月分は2025年基準の指数である。総務省の基準改定計画では、2020年基準から2025年基準への改定を2026年に実施し、調査対象品目やウエイトを最新の消費実態に合わせて見直すとしている。

異なる時期の比較に注意するイメージ

※以前、基準改定を見落として長期比較を誤った。長い期間を並べる前に、各時点の基準を確かめている。

※次回の全国消費者物価指数(2026年8月分)は、2026年9月18日8時30分に総務省から公表予定である(e-Stat公表予定一覧)。

※本文の上昇率はいずれも前年同月比。