+24。2026年9月調査の大企業・製造業の業況判断DIである。この数字を見て、売上が24%増えた、あるいは景気が24%成長したと読む人がいる。どちらも違う。
よくある誤読、DIを伸び率と取り違える
業況判断DIは、企業が収益を中心とする全般的な業況を「良い」「さほど良くない」「悪い」から選んだ回答をもとに作る。「良い」の回答社数構成比から「悪い」の構成比を引いた値で、単位は%ポイント。+24は「良い」が「悪い」を24ポイント上回った状態を指すだけで、成長率ではない。
もう一つの誤読は、大企業の数字を企業全体の姿と見ることだ。DIは企業規模でウェイト付けせず、いわば1社1票で集計する。
正しい読み方、確認する順番
まず調査月、次に企業規模と業種を見る。短観の規模区分は資本金で分かれ、大企業が10億円以上、中堅企業が1億円以上10億円未満、中小企業が2,000万円以上1億円未満。対象は資本金2,000万円以上の民間企業で、金融機関などを除く。
三つめはDIの選択肢と符号である。業況は「良い」-「悪い」だが、設備・雇用のDIは「過剰」-「不足」で、マイナスは不足側が多いことを示す。価格判断DIは「上昇」-「下落」。売上高・経常利益・設備投資額は判断項目ではなく、事業計画の実績・予測を数値で示す項目だ。
四つめに「最近」と「先行き」を分ける。「最近」は回答時点、「先行き」は回答時点から3か月後の状況についての回答である。
2026年9月調査の数字、最近と先行き
業況判断DI(最近)は全規模・全産業+21%ポイント、大企業・製造業+24、大企業・非製造業+35。前回の6月調査からそれぞれ+3、+2、-2ポイントの変化である。先行きは順に+15、+21、+30。
| 項目 | 最近 | 先行き |
|---|---|---|
| 全規模・全産業 | 21 | 15 |
| 大企業・製造業 | 24 | 21 |
| 大企業・非製造業 | 35 | 30 |
全規模・全産業の雇用人員判断DIは-38%ポイントで、人手不足側が優勢。2026年度の設備投資計画は全規模・全産業で前年度比+7.6%、前回調査からの修正率+0.8%。対象9,104社、回答率99.4%、回答期間は8月26日から9月30日である。概要・要旨の公表は10月1日、調査全容は10月2日。
※対象企業数・回答率・回答期間・概要公表日は日本銀行「短観(概要)―2026年9月―」、調査全容の掲載日は日本銀行「短観」公表一覧による。
比較の限界、系列の不連続
短観は標本調査である。調査対象企業は原則2〜3年に1度見直され、2026年9月の概要にも2004年3月、2023年12月、2025年12月などで系列が不連続である旨の注記がある。系列の不連続をまたぐ長期比較では、対象企業や集計方法の変更を確認する必要がある。集計結果は回答企業の判断であり、日本銀行自身の景気判断や予測ではない。先行きDIにも一定の傾向があり、単独の値だけで景気全体を断定する読み方には無理がある。
※DIの単位は%ポイント、計数項目は主に前年度比%。規模区分・業種・「最近」か「先行き」かは、数字を書き写す前に確認する。