インフレ率とは、CPIなどで測る財・サービスの価格水準が一定期間にどれだけ変化したかを示す率である。月次CPIの年率は当月と前年同月の比較だが、以下の世界銀行の年次系列は年平均の変化率で比較期間が異なる。まず三つの指標を並べる。
三つの指標、日本のCPI・米国のCPI-U・ユーロ圏のHICP
2026年9月分の前年同月比は、総務省統計局の全国CPIが2.1%、米国労働統計局のCPI-Uが3.7%、EurostatのHICP(ユーロ圏)が3.8%(公表日は順に10月23日・14日・16日)。英国国家統計局のCPIは3.5%で、8月の3.1%から上昇した(10月21日公表)。
※米国労働統計局、英国国家統計局、Eurostatの各公表資料。
インフレ率の推移、1980年・2000年・2022年の比較
世界銀行のインフレデータベース(World BankのAPI、指標FP.CPI.TOTL.ZG)は1970~2025年の年次系列を収録する。年率でみると、1980年は英国18.0%、フランス13.6%、米国13.5%、日本7.8%、ドイツ5.4%。2000年は米国3.4%、フランス1.7%、ドイツ1.4%、英国1.2%、日本は-0.7%。2022年は米国8.0%、英国7.9%、ドイツ6.9%、フランス5.2%、日本2.5%。2024年は英国3.3%、米国3.0%、日本2.7%、ドイツ2.3%、フランス2.0%だった。
| 項目 | 日本 | 米国 | 英国 |
|---|---|---|---|
| 1980年 | 7.8 | 13.5 | 18 |
| 2022年 | 2.5 | 8 | 7.9 |
| 2024年 | 2.7 | 3 | 3.3 |
同じ尺度で並べると、1980年前後の高インフレ、2000年前後の低い上昇率、2022年の再上昇という違いが見える。局面別の国内推移は日本のインフレ率の推移で扱った。
変動の背景、石油危機と2020年代
1970年代の高インフレには、米国の金融・需要要因に加え、1973年と1979年の石油危機によるエネルギー供給ショックが関係した。米国のCPI上昇率は、1980年の年平均13.5%から1980年代後半には平均3.5%まで低下した(Federal Reserve History)。
2020年代の再上昇は要因が重なる。IMFによれば、パンデミック期に需要が財へ移り供給が追いつかず、ウクライナ戦争による食料・エネルギー危機も加わって、世界のインフレ率は2022年半ばまでにパンデミック前の約3倍になった。
読み方、住宅費の扱いと系列の違い
OECDによれば、加盟国の国内CPIは各国統計機関の独自方法で作成され、住宅費の扱い等が異なり得る。英国では持ち家住宅費を含むCPIHが別に公表され、2026年9月は3.6%。ユーロ圏のHICPは共通の方法・定義による比較指標である。
日本のCPIは、基準時点の消費構造をウエイトに固定した買い物かごの価格変化を指数化する。基準改定を見落として長期比較を誤ったことがある。年次系列と最新の月次値は、年平均と前年同月比と区別して扱う。
次回の公表予定は、ユーロ圏HICPの速報値が2026年11月4日、米国CPIが11月10日、英国CPIが11月18日、日本の全国CPIが11月20日である。