公表日の朝は、前月分のCIをノートに書き写してから内閣府のページを開く。差を先に用意しておくと、更新された数字がどちら向きなのかを取り違えにくい。2026年10月7日に公表された景気動向指数の最新結果は、2026年8月分速報である。一致CIは前月差−1.9ポイントの118.7。6か月ぶりの下降となった。

景気動向指数の構成、CIとDI

景気動向指数は、生産や雇用など景気に敏感な複数の経済指標を統合した指標である。目的は景気の現状把握と将来予測で、CIとDIの二つの形で公表される。CIは景気変動の大きさとテンポ、つまり量感を測る。DIは改善している採用系列の割合から、景気の動きが経済のどの範囲まで及んでいるかという波及度を測る。

CI・DIにはそれぞれ先行指数、一致指数、遅行指数がある。一致指数は現状把握、先行指数は今後の動きの予測、遅行指数は事後的な確認に使う。同じ月の三つを並べても、役割は別である。CIとDIの区別や三指数の並びから整理したい場合は、CIとDI・先行/一致/遅行の違いを語呂で整理した記事も手がかりになる。

※内閣府経済社会総合研究所「景気動向指数の利用の手引」

2026年8月分速報の数字、CIとDI

CI(2020年=100)は、先行118.0、一致118.7、遅行112.1。前月差は先行+0.4ポイント、一致−1.9ポイント、遅行−0.9ポイントである。同月のDIは、先行77.8%、一致43.8%、遅行50.0%。採用系列は先行11、一致10、遅行9系列で、各系列を3か月前と比べた変化方向で集計し、横ばいの系列は0.5として数える。

DI(2026年8月分速報) DI(2026年8月分速報) 単位:% 0 20 40 60 80 先行 一致 遅行 77.8 43.8 50

DI(2026年8月分速報)(単位:%)
項目 DI
先行 77.8
一致 43.8
遅行 50
出典:景気動向指数 令和8(2026)年8月分(速報)/景気動向指数の利用の手引

※内閣府経済社会総合研究所「景気動向指数(2026年8月分速報)結果の概要」「景気動向指数 令和8(2026)年8月分(速報)」「景気動向指数の利用の手引」

一致CIの内訳、寄与度で見る下降

8月の一致CIの低下に対する主なマイナス寄与は、鉱工業用生産財出荷指数が−0.64ポイント、耐久消費財出荷指数が−0.44ポイントだった。いずれもCIの前月差への寄与度で、各系列の原数値とは単位が異なる。出荷の指数そのものがこの幅で動いたという読み方にはならない。

DIの側は、一致が43.8%で50%を下回った。ただしDIは何%改善したかではなく、一致指数の採用系列について、当月に算出可能な系列のうち3か月前より改善した系列の割合を示す。変化の幅は入らず、改善・悪化・横ばいの方向だけを集計する。量感はCI、波及度はDIと、測っているものを分けて扱うことになる。

※内閣府経済社会総合研究所「景気動向指数(2026年8月分速報)結果の概要」「景気動向指数の利用の手引」

比較の限界、単月と移動平均

前年同月比ではなく前月差で見ると、一致CIの8月は1.9ポイントの低下である。一方で3か月後方移動平均は前月差+0.13ポイント、7か月後方移動平均は+0.10ポイントで、いずれも8か月連続の上昇だった。内閣府の基調判断は「改善を示している」で据え置かれている。単月の上下だけで景気局面を断定する読み方は適切でなく、月々の不規則な動きは移動平均でならして見る形になっている。

DIの50%超・未満も、景気拡張局面・後退局面で見られる傾向を表すもので、50%を超えたから拡張が加速しているという意味ではない。もう一つ、速報値は公表日の3営業日前までに公表された値を使って算出される。

※内閣府経済社会総合研究所「景気動向指数(2026年8月分速報)結果の概要」「景気動向指数の利用の手引」

次回の公表、2026年11月9日

2026年9月分の景気動向指数速報は、2026年11月9日公表予定である。公表予定日は変更される場合がある。日程と最新結果は、内閣府経済社会総合研究所の公表予定表と統計表一覧で確認できる。四半期の量感を別の統計と突き合わせるなら、2026年4-6月期の実質0.4%と名目1.3%の読み方が隣に置ける。

※内閣府経済社会総合研究所「景気統計公表予定一覧」「統計表一覧:景気動向指数 結果」

一致CIが下がった月の朝、まず探すのは移動平均の欄である。単月の符号と基調判断は、別の欄に書かれている。数字の大小より、どの期間の数字かを先に確かめる。